9月にフランスのCompiegne工科大学を訪問して来ました。場所はこのアタリ。パリから列車で北へ1時間くらいの処にあります。
昨年,研究のことでアレコレと相当つっこんだ内容のやりとりのあった先方の学生さん(ATさん)から突然,久しぶりのメールを受け取ったと思ったら「defenseがあるから来ませんか」とのコト。
ここで云う「defense」とは,日本で云えば「博士論文最終審査会」のこと。提出した「学位請求論文」を審査員の前でプレゼンし,質疑応答の末,自分の論文の価値を「defense」しきって見せることができて初めて,博士の学位が認められる。と云う含意でして,筆者はこの言葉のそう云う意味の響きが好きですねぇ。そう書くと相当厳しそうに聞こるかも知れませんが,まぁ,学位論文自体は事前に審査員に提出されており,内容に関するやりとりもdefenseの前に相当程度は済ませて,その上で「最終審査会を行って良い」となってから開催されているハズなのでして,その意味では少なからず儀式的な側面もあるのですが。審査員は学内の先生だけではなくて,学内からは指導教員を含めて4人,学外から,他の大学の当該分野の専門家が2人,当該分野を専門にしている会社の研究者が1人,全部で7人の審査員団となっていました。筆者の立場は実はちょっと中途半端でして,学外から来たオブザーバー参加。と云った案配。つまり,審査員としての参加ではなかったのです。「研究のことでいろいろ貴重なアドヴァイスを貰うコトができて感謝しているのでdefenseに是非招待させて欲しい」と云うのがATさんからのメールでした。せっかくのチャンスなので,ノコノコと出かけてまいりました。と云う次第。
まずは前夜の様子から。defenseは午前中に行われます。ですので,学外からの審査員は前の晩には現地入りして一泊して審査に望むコトになっているようでした。せっかく集まるのですから,と云うコトで当然のようにして,ディナーは指導教員の先生のご接待ご案内でみんなで会食です。筆者も当然のような顔をしてソレに潜り込み。明日の審査についてそれはもう真剣・深刻な打ち合わせ。なんてコトは全くないのでして,世間話に紛れ込ませて研究の話題や業界の話題について情報交換・歓談。をしていたのだろう。たぶん。きっと。つまり,僕以外の先生方は当然のように皆さん,フランス語で話しをしてるので,殆どの内容は解りませんから。時々,英語に切り替えて話の途中を説明してくれたり,筆者との会話部分だけは英語でしてくれたり。ともあれ,ホンモノのフランス料理を鱈腹堪能しつつ,いくつかの貴重な情報を仕入れつつ,英語部分の多少の歓談には参加しておりました。実は,当該分野の専門家である学外審査員の2人の先生は,もともと海外学会の折りにお会いしたことのある方々だったんですよね。まぁ,ある意味,多少特殊な狭い分野なので,必然の成り行きとも云えるのですが。それで,研究関係の情報交換をしてみたり。この学外審査員の2人の先生方にお会いできたと云う点では非常に良いチャンスではありました。
一夜明けて。現地一泊した学外審査員は駅前ホテルから揃って大学へ(筆者もソレにひっついて一緒に大学へ)。指導教員のオフィスでしばらく歓談。別に特別な打ち合わせとかは全然なかったんだけど,それはみなさん,もうどう云うシステムでdefenseが行われるのか良くご承知のヴェテラン教授ばかりだったからなのでありましょう。ぼちぼち時間,となり,学内にあるコンファレンス用施設へ徒歩で移動(上の写真。好天に恵まれる)。ここの一室で審査会は開催されたのでした。と云っても一番小さな会議場でしたが,それでもきっちり階段教室にはなっていましたね(下の写真)。なかなか立派な施設をお持ちである。
会場に入ると,発表者は既に発表の準備を済ませ,落ち着かなげな気配を漂わせつつ立って待っている。席にはオーディエンスがちらほら。主に,発表者の家族とか友人・学生仲間とかのように見える。発表者が実は社会人ドクターと云うか,会社からの派遣で博士課程の学生をしていたので,同僚・上司にあたるヒトもちらほら。全体的には勝手に想像していたよりもオーディエンスは少ない感じ。
時間になると,審査員団の入場。筆者はそれに先だって会場の後ろの方の席にこっそり入っていたのでしたが。会場一同,全員起立の上,審査員団の着席を待ちます。審査員団は一番前の席に横一列に着席。審査委員長(たぶん,専攻長にあたるヒトのようであった)の宣言に従って,defenseの始まりである。
発表が40分くらい(左写真),それから質疑応答がこってりと30分以上続いた(右写真)。
エーー。ここで正直に告白が一件。これらは全部,フランス語で行われておったのですね。上でも書いたように筆者はフランス語を全く解さないので(知っている単語は,シルブプレ・エビアン・フラン・シュークルート・ヴァンショー,カフェオレだけです)。なので,発表も質疑応答も,ナニを云っているのかは実はサッパリ全く解りませんでした。はい。場の雰囲気を楽しんでいたダケです。いや,勿論,研究の内容自体はもともと知っているし,時々,英語と共通の単語も出てくる。ので,キアイと勘で,スライドの図とかを見て,今,何の話をしているのかを想像したりして見物していたワケですが。いやぁ,でもやっぱりツライわ。
質疑応答は,審査員だけがします。会場からは特に発言を取ったりはしませんでした。審査員が,順番に一人ずつ,質問をし,議論をして行く,と云うスタイルでした。フランス語なので相変わらず内容は解りませんでしたが,一人々々が結構がっちりとした質問をしているように見えた。
一通りの質疑までが終了すると,審査員団は一旦退席。別室で審査をしている。ことになっているのだけれども,たぶんお茶を飲んで歓談しているダケなのではないかと推察。もったいぶって時間をかせいでいるのである。この間,会場では,発表者は,発表が終わった安堵とこの後行われる結果発表に対する不安(まぁこの段階まで進んでめったなコトはまず起こらないのですが,かと云って100%の保証があるワケでもないのがイヤな処)で,かなり情緒不安定な言動?を示しつつ,家族や仲間たちと談笑しております。そして,以下の手順に進むのである。
審査員団再入場(左写真)。審査員長より,合格の旨の宣言が行われる。拍手。審査委員長挨拶。指導教員挨拶。ののち,発表者本人も何か感極まったような挨拶を述べていた。そうして全てが終わって発表会場を出ると。その出た処のロビーは(右写真)。早くも簡単な祝賀会会場が設営されておりました。つまり,そう云うコトです。
ここはフランスですから,と云うコトで,お祝いの乾杯は当然のようにシャンパンでしたナ。それから各種軽食が振る舞われました。この段階ではもう,特別に堅苦しい挨拶が改めて行われるようなことなどは皆無で,本人・審査員・友人・家族と,参加者が普通に入り混じって歓談。友人たち,あるいは職場の仲間から簡単なプレゼントが贈られたり,とか,そんな感じでしたね。そんなこんなの様子をたいへんに興味深く拝見しつつ参加しておりますと,審査員の先生が一人,すっと筆者に寄ってきておっしゃるのには「これから審査員ダケで昼食に行くから,ココであんまり欲張って食べ過ぎないように」とのコト。え”え”え”?これからまだ更に飲んだり食べたりされるのですか?先生?と云う感じ。どうりで,午前中から昼までの具合良い時間にdefenseが行われるようになっているワケでございます。
暫時。その先生の予言?通り。本人や友人たちはまだその立食パーティーの最中なのですが,審査関係者が「ではそろそろ」と云う感じですーっと離席。大学を出て,市内のレストランへ。筆者も,飲んだり食べたりするのは基本的に大好きではあるのですが,ホンモノのこってりしたフランス料理を前夜いただき,フランスのホテルの朝食は基本的にクロワッサンとカフェオレで比較的軽いとは云えそれをがっちり食べ,それからさっきの立食パーティーでちょっとつまみをつまんで,シャンパンをいただきまして(昼間のお酒は良い気分になるのがちょっと速い),実は既にちょっと疲れ気味なのでございます。それでも。和気藹々と歓談しつつ,(当然,ワインも結構量飲みつつ),昼からフルコース。それで解散。学外の審査員の方々はそこから帰途に着かれます。
いや。完全に打ちのめされました。その。研究に,じゃなくって,フランス料理に。前夜と昼のフルコース連チャンはちょっと・・・。おかげで当日の晩はもう全く食べられず。Leedsに戻ってもしばらくはちょっと(普段は大好きな)油っこい食品は受け付けず。比較的頑強と信じていた自分の胃袋が打ちのめされたのに,いささかまいりました。尤も,フランス出張すると云うと必ず,そのようになるので,別に今回が初めてで動揺,と云うようなコトではないのですが。
フランス(料理)には(ある意味)全くかないません。
外部審査員でおいでになっていた2人の先生方には,ヨーロッパにいる間に是非,それぞれの研究室を訪問してセミナーで何か話をしませんか,と云う,非常に嬉しいお誘いをいただきました。そう云うチャンスと云う意味でも,文化的な興味(海外での学位defenseに立ち会う機会はそんなにはありませんから)でも,非常に貴重な機会でした。お誘い下さったATさん,ありがとう。それから勿論,学位おめでとう(日本語のこのblogなど当然お読みにはなられないでしょうけどね)。
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コメント (1)
日の出、日の入りの時刻は、意外でした。日本人の一般的な感覚よりも、緯度が高いからですよね。
BBCサイトの天気予報の表示は興味深いですね。
Visibilityは、霧による視界が良いかどうかということでしょうか?
Pollutionは、スモッグによる汚染を表しているのでしょうか?
必要があるから掲載している訳で、ちょっとした情報から、市民の日常生活を推測するのも面白いですね。
投稿者: miura | 2008年01月11日 14:08
日時: 2008年01月11日 14:08