Ecole des Mines d'Albi(Albi鉱業大学,とでも訳せば良いのでしょうか?)のJohn Dodds教授を訪問。場所はこのアタリ。櫛形に見えているのが大学本体の建物。櫛の歯の部分に研究室とか実験施設が入っている。残念ながら当該研究グループのウェッブサイトは見つからなかったので参照アンカーが貼れませんが,先生は「粉体工学」分野で著名な先生です。
朝,目覚めてみるとホテルの前はこんな様子になっている。Albi駅前の便利なホテルを手配して下さっていて,ホテル玄関の向かいが駅なんですけど・・・(向こうにぼんやり写っているのが駅舎)。いやもう朝からクソ寒くて街は霧に覆われておったのでございます。駅まで迎えの車が来て,大学へ。
研究グループでのセミナーですが,クリスマス直前で学生があまりいない時期と云うコトもあるらしく,参加者は大人?ばかりの(それが逆に緊張する)小さな会議室での小さなセミナーとなりました(それがまたかえって逆に緊張する。つまり,こう云うシチュエーションの方が「コワイ」質問が出やすいのです。って,別に今さらナニ聞かれたって別に怖くもなんとも感じはしないんだけど,それでもなんだかナニかの「審査」でも受けているような気分になってしまう)。セミナーが始まる前,校舎の廊下にある「釣り鐘」をガランガランと鳴らして「これからセミナーですよ〜」とお知らせしていました。ちょっとびっくりした。セミナー本番はだいたい,筆者の講演とそれからアレコレの議論を合わせて1時間くらい。実際にはそれほど恐ろしい?様な状況にはならず(当然だけど),でも割とたっぷりと,全然おざなりではない内容のあるディスカッションをしてもらえてカナリに楽しい時間を過ごすコトができました。

緊張の時間(セミナー本番)が終わるとイヨイヨ待ちに待った昼食です。緊張が溶けて空腹感もソコソコに盛り上がって来る頃。連れて行っていただいたのはいわゆる「学食」ですが,でも食堂の一角には「教員専用」のコーナーがある。これは,フランスの大学では何処もそのようになっているみたい(と云っても2ヶ所くらいしか体験がないけど)。イギリスでも学食とは別にスタッフ専用の食堂があるようになっているようですね(これもLeeds大学にはある,と云う事例しか知らないので一般化可能なのかどうか不明なのですが)。Leedsの場合は,食事のクオリティは全然変わらないのだが,とにかく学生が入って来られない食堂がある,と云うダケと云う感じがする。ともあれそのようなワケで教員専用スペースへ連れて行っていただいたので,フランスの大学学食の「(学生向け食事の)実力」を確認できなかったのは多少残念(昔々,パリ大学だったか何処かで紛れ込んで食べた学食の(学生用)メニューは量ばかり多くてとてもとても不味いモノであったと云う記憶があるのだけれど)。
この教員専用スペースに限って云えば,「フランスの学食をナメてはいけません」と云う感じ。昼からがっちり「3コース」のランチです。「3コース」って云うのは,「前菜」「メイン」「デザート」と3皿今日される食事セットのコト。それで当然のように昼からワイン付き。「ここはフランスなんだから当然です。ちゃんと飲め」と云う雰囲気。筆者などはおかげで午後はホロ酔いです。お味の方もここの食事は相当に美味であった。今回のフランス遠征での全部の食事の中でも上位に入るように思われる。ちなみに下は前菜のパテ。真ん中にフォアグラが入っている。

大学学食の食事であんまり感動?しているようでは比べるべくもないので,ここで話題に上らせるのが適切かどうか解らないけれど,フランスに於ける云わば「飲食外交」について書かれた下記の本は非常に面白いので,そう云う方面(て,どう云う方面だかやや不明だが)にご興味のある方には強くお奨めしておきます。
■『エリゼ宮の食卓―その饗宴と美食外交』西川 恵 (新潮文庫)
食後は研究室見学。あちこち丁寧に見せてくれて,説明して下さいました。以下の写真参照。カメラがあまり高性能ではない,と云うか広角のレンズがないのでどんだけ下がってもあまり上手く全景が写らないので困りましたが,つまりそのようにパイロットスケールプラント規模の実験施設が設置できる「だだっぴろい」スペースが十二分にあって,大きな実験装置を設置してがんがんデータを出しているのです。このエントリの上の方にgoogle mapの航空写真がリンクしてあったと思いますが,この「櫛の歯」状の建物の先端部分にそれぞれ(一番端っこはこれまた大きな講堂になっているのでそれ以外で)全部で3つの,下記写真のような「中間規模実験施設」(化学工学系で「大規模実験設備」と云うとフルスケールの化学工業プラントくらいを想定するので,パイロットスケール規模の場合「中間規模」などと云う。けれども大学の設備としては超巨大設備であることに変わりはない)を保有しているのです。勿論,これ以外にもいわゆる普通サイズの部屋に化学系実験ベンチや測定機器の設置してある部屋があります。こりゃすごいわ。としか云いようがありませんが。ここは全体としては規模の小さい,まるで何かの「研究所」のような大学ですが,その代わりに研究設備の充実ぶりはものすごいことになっている。
写真には写せなかったのですが,流石フランス。と思わされたのは以下のエピソード。別の部屋に「超臨界析出」の実験装置があって,最近の粉体工学分野では,この装置で機能性ナノ粒子を製造する,と云うような研究テーマが全世界的に活発なのですが,誰かが試しにこのような装置に「チョコレート」を入れてみたのだそうで。そうしたら最適(つまり最も美味しい)結晶形のチョコレートの製造に成功して,既にパテント化もなされたとか。一体フランス人以外に誰がそんな実験(極めて高価な実験装置にチョコレートを放り込んだヒトがいるってコト)を思い付くんでしょうかね?実際にはこの製法ではコストがかかり過ぎて実用化にはまだいくつかの段階の追加研究が必要だそうです。ちなみに,詳しい話はあまり良く解らなかったのですが,固形化したチョコレートには5種類の結晶形があって,そのウチの第5型(だったかな?)が一番美味しいチョコになるのだそうな。だから皆さん,既に製造された板チョコを買って来て,それをまた溶かして固めても,再結晶化する過程で結晶形が変わってしまうので,あまり「良い行い」とは云い難いみたいですヨ(そもそも一体誰が,ただ単に一旦溶かして固め直したチョコを「手作りチョコ」と呼ぶことにしたのだろうか?前々から疑問だったのである)。古くからチョコレート製造には,この加熱(溶解)再結晶(固化)の過程に様々なノウハウがあったのだとか。
最後の最後に驚かされたのは以下。の写真参照。この大学,聞けばティーチングスタッフは全部で60人程度なのに,20台の自動車を所有しているのだそうですゾ。つまりこの写真に写っている車はみんな大学の車(で大学のロゴが入っている。ここに写っているの以外にもまだまだいっぱいある)。何処へ行くにもサイン一発で乗って良いのだそうな(勿論,業務用途に限られるのでしょうけれど詳細運営規定は不明)。この自動車の整備をしたり運転をしたりする専任スタッフが2名常駐。そう云えば,前の日に空港に迎えに来てくれるのも,朝,ホテルまで迎えに来てくれるのも,「ドライバーをやるからその車に乗って」と云われていて,そう云われても筆者には実は意味が良く解っていなかったのですが,つまり,そう云うコトなのであり,「大学所属の運転手」が筆者の送迎をしてくれていたのでした。そんな可能性がそもそも念頭にないから「ドライバーを迎えに出す」と云われても意味が解っていなかったのです。つまり空港では看板を持った知らないおぢさんにくっ付いて行って云われるママに車に乗っていたのである。一般論としてはそう云うのは相当に危険である。事実,そう云う危険な話は何処かで聞いたコトがある。空港で預けた荷物をピックアップするときに,その荷物に書いてある名前を盗み見されるらしいのです。「××様ですか?お迎えに上がりました」と自分の名前を呼ばれたので訪問先からの出迎えとアッサリ信じて付いて行ったら見知らぬ街で全く知らない処に車で連れて行かれて(見知らぬ街なんだから何処に連れて行かれても「全く知らない場所」ではあるが)身ぐるみはがされた,のだとか。実話だそうですヨ。知り合いの知り合いの知り合い,ってくらいの話として聞いたので,ひょっとすると都市伝説カモ知れないけど,手口としては明らかに有り得る話。このケースに限って云えば名前だけでなく会社名を確認するのが重要であったと思われる。話がどんどん横道に逸れて来てしまったので,本日の処はこのアタリで。

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