無機化学演習課題


計算問題で回答のみを書いたのでは、演習のレポートとしては失格である。演習の狙いは、導出過程を自分のものにし、物理定数の取り扱い、単位の換算、べき数や有効数字の桁数など、計算にあたって注意すべき点を正しく取り扱えるようになることにある。単に正解をレポートすることではない。


第2回(返却中、解答) 第3回(返却中、解答) 第4回(返却中、解答) 第5回(返却中、解答) 第6回(返却中、解答) 第7回(返却中、解答) 第8回(返却中、解答) 第9回(返却中、解答) 第10回(返却中、解答) 第11回(返却中、解答) 第12回(返却中、解答) 第13回(返却中、解答) 第14回(解答


問題のストック(試験に備えて)
 各章末の演習問題に加えて、試験に備えて理解を深めるための問題を掲載した。演習課題および各章末の演習問題と共に、これらの問題の類題が試験で出題される可能性は大きい。


第14回

(1)金属水素化物だけでなく、非金属の水素化物の中にも,水素が陰性になっていると考えられるものがいくつかある。
 (1) あてはまる化合物を,相手の元素毎に少なくとも一つ挙げなさい。
 (2) 上で挙げた各水素化物の立体構造を図示し,各分子の形を簡単に説明しなさい。

(2)p. 192の演習問題5.に答えなさい。

(3)上の演習問題5.の酸化物のうち、酸化剤として働くものはどれか。


第13回

(1)p. 149-150の演習問題5、6、7、9に答えよ。

6(ヒント)Ptは5d軌道に電子が入っていることを考慮し、p. 132下にあるような図を描けばいい。

7(ヒント)Dqを単位として答える。「強い場」の場合と「弱い場」の場合に分けて答える。

(2)1,3-シクロブタジエン(c-C4H4)はいろいろな金属とπ錯体を形成する。Fe(0)とc-C4H4とCOからなる単核の有機金属化合物について考えられる構造式と構造の概略図を答えなさい(一通りとは限らない)。


第12回

(1)p. 149の演習問題3.4.に答えよ。

(2)dichlorotetraamminecobalt(III) イオンについて次の問いに答えなさい。
(1) このイオンのもつ電荷を答えなさい。
(2) このイオンが正八面体構造をとるとき、考えられる二通りの異性体の構造の概要を描け。


第11回)

1.プリントのp. 200の演習問題10.5と10.6に答えよ。

2.プリントの図10.2で左側の溶液が濃度1 mol/l のZnSO4水溶液であるとき、右側の電極を金属Znに変え、溶液を0.5mol/l のZnSO4水溶液に変えたとする。
(1) (平易)左右どちらの極が正極になり、起電力は何Vになると考えられるか?
(ヒント)濃淡電池では、ネルンストの式のEo = 0 となる。
(2) (標準)(1) で、Eo = 0 となるのはどうしてか。
(3) (やや難)実際には、図10.2の装置のままでは電池としてはうまく働かない。電池として働くようにするには、素焼き板の代わりに特別な性質をもった膜を使う必要がある。では、その「特別な性質」とはどのような性質だろうか。考えてみよ。


第10回

1.p. 121の演習問題6、7、8に答えよ。
  (6(2)の右側の半電池のClはCl-の誤り)
  (8(4)右辺のCe4+はCe3+の誤り)
(ヒント)6.電池の図式の取り扱いに慣れよう。
     8.電池として考えたとき、標準起電力が正の値になる電極反応の組み合わせなら、
       自発的に進行する。

電気に関する基本的な法則がわからないときはこちらへ。

2.ホームページからダウンロードした「酸化還元反応の復習」のプリントの「演習問題(2)」を解いて提出せよ。


第7回

1.次の各分子またはイオンのルイス構造を描き、予想される分子の形を答えよ。(ヒント:分子の形は原子価電子対反発 (VSEPR) 理論に基づいて考える)。
 (1) PH3  (2) H2Se   (3) BF4-  (4) POCl3  (5) SOCl2  
 (6) ClO3-  (7) NO2  (8) SeF4  (9) PF5  (10) SF6

2.岩塩の結晶でのナトリウムイオンと塩化物イオンとの距離は282 pm (p: 10-12) である。結晶の安定化に関わるクーロンポテンシャルエネルギーを有効数字3桁で求めよ。マーデルング定数は教科書の値を用い、他の物理定数は教科書の裏表紙裏の表を参照せよ(丸めて用いる)。

3.2.p. 53の演習問題4.に答えよ。必要な数値および物理量は、教科書内および裏表紙の裏側の見返しページを参照せよ(以下同じ)。


第8回

1.p. 53-4の演習問題6.に答えよ。

2.p. 68-69の演習問題1〜3に答えよ。
ヒント:1.は図3.4および3.5を参照。


第9回

1.次の化学反応式を完成させよ。いずれの反応も右向きに進行することが知られている。その理由をHSAB則に基づいて説明せよ。

(1)  AgF +  CaBr2

(2)  ZnCl2 +  CaS →  

(3)  Cu(OH)2 +  NaI →  

2.1.の各反応で、ルイス酸およびルイス塩基をそれぞれ挙げよ(一つとは限らない)。イオンの場合にはイオン式で答えよ。

3.ホームページの「酸化還元反応の復習」のプリントをダウンロードし、「演習問題(1)」を解いて提出せよ。


第6回

1.以下の各物質をイオン性物質、金属、分子性物質または高分子に分類せよ。ヒント:構成元素の周期表での位置を参考にする。
(a) CO2 (b) グラファイト(黒鉛、C) (c) CaF2 (d) MnO2 (e) P4 (f) SiO2 (g) Ru (h) I2 (j) KBr (k) NaOH (l) CaCO3 (m) PH3 (n) U 

2.p. 53の演習問題1.に答えよ。


第5回

1.周期表および電子配置について次の各問に答えよ。必要ならp. 228の付表2を参照せよ。
 (1) 遷移金属元素の陽イオンは2価または3価のものが多いが、Cu+ 、Ag+は例外的に1価のイオンが安定に存在する。上記の表を見てその原因を考えよ(第4回の2.の解答も参考にしてよい)。

 (2) 一昨年IUPACによって正式に名称が認められたレントゲニウム(111Rg)の電子配置を答えよ(Rnの電子配置[Rn]を使って答えてよい)。この元素は周期表の第何族に属するか?

 (3) 最近、日本で発見が報告された113番元素(組織名:ウンウントリウムUut)は周期表の第何族に属すると予想されるか。

2.p. 32の演習問題8.に答えよ。必要な数値および物理量は、教科書内を参照せよ。

3.次の各結合について、どちらの原子がより負に帯電しているかを答えよ。次に、極性の大きな順に左から右に並べよ。電気陰性度は教科書p. 31の表1.13を参考にせよ。
 (1) C−N  (2) N−O  (3) C−I  (4) O−Cl  (5) P−Br  (6) S−Cl

4.次の各イオンの中でもっとも大きなイオンともっとも小さなイオンをそれぞれ答えよ。また理由を簡単に述べよ。(ヒント:電子配置と核の電荷を考えればよい)
  S2-  Cl-  K+  Ca2+ 


第4回

1.次の各原子軌道に入っている電子のとっている主量子数と方位量子数およびとりうる磁気量子数lの値はそれぞれいくらか。
 (1) 3d  (2) 4p  (3) 4f  (4) 5d

2.次の各原子またはイオンの電子配置を答えよ。
(注意)イオンになるときは最外殻の電子から取れていく。
 (1) Fe  (2) Sc  (3) I  (4) Fe3+  (5) Pt2+ 

3.次にあてはまる原子またはイオンを答えよ。
 (1) 6個の3d電子をもつ2価の陽イオン
 (2) 3個の3d電子をもつ原子
 (3) 3個の3d電子をもつ3価の陽イオン

4.教科書p. 31-32の演習問題5.に答えよ。


第3回

この演習は、実際には物理化学の範囲、すなわち「簡単な数学を用いる物理学の応用」である。2.(3)で1カ所だけ微分方程式(難しくない)を用いる他は、単なる式の誘導である。これの回答を見れば、水素原子の量子化学について、少しでもわかりやすいイメージが得られるはずである。このように数学を駆使する課題は、今後もうない(試験にもない)ので、これでくじけないこと。

1.10-13ページ「1.3.2 Bohrの水素原子モデル」について、次の各問に答えよ(教科書では省略されている導出過程を示すこと)。

(1) 10ページの「第一の仮定」を式で表すと11ページの(1.4)式になる。この式と、円運動する物体に働く力の釣り合いの式である(1.5)式とから、(1.6)式が成り立つことを示せ。

(2) 11ページの(1.5)〜(1.7)式から(1.9)式を導け。

(3) 11ページの(1.3)式と(1.9)式とから13ページの(1.10)式が成り立つことを示せ。

(4) (1.10)式の定数項(右辺の()の左側)を計算し、Rydberg(リュドベリ)定数と比較してみよ。定数は裏表紙のすぐ内側の定数表を参照せよ。

2.13-14ページ「1.4.1 波動方程式」について、次の各問に答えよ(教科書では省略されている導出過程を示すこと)。

(1) 13ページのde Bloglie(ドブロイ)の物質波の概念は、すぐ上の光子の式から類推すると、次のように考えることができる(光速度cを速さvで置き換える)。

    E = hν= mv2  (v は物質波の速さ)

    v = νλ これは波動の一般式である。意味を説明せよ。

この2つの式から(1.11)式を導け(運動量p = mv)。

(2) (1.11)式を14ページの(1.13)式の左辺第4項に代入して変形し、(1.14)式の左辺第2項になることを示せ。

(3) (1.13)式は一見すると複雑そうなので、一次元で考えてみよう。この式は

  (d2ψ/dx2) + (2π/λ)2ψ = 0

という微分方程式になる。この式のψをみたす解(xの関数)を一つ答えよ(第2項を右辺に移項すると考えやすくなる)。ただし、ψの最大値がa、最小値が-aであり、x = 0のときψ= 0 が常に成り立つものとする(a > o)。
横軸をx、縦軸をψとして、x≧0の範囲で、得られた解の概要を図示してみよ。この式がなぜ「波動方程式」と呼ばれるかがわかるだろう。

ヒント)上の微分方程式の意味は、「xの関数であるψを2回微分すると、-ψの定数倍の形になる」である。これを解くとは、「」の条件をみたすxの関数ψを見つけることである。(いかなる微分方程式もそうであるが)式の誘導だけでは解けないことは言うまでもない。)

(4) 0 ≦ x ≦ b (b > o)とし、境界条件として
   x = 0 のとき ψ= 0
   x = b のとき ψ= 0
が与えられたとき、解の概要を上と同様にして図示してみよ。また、λが満たすべき条件を、与えられた定数と正の整数nを用いて式で表せ。
できればこのときのψの解を式で表せ。


第2回

1.(1) 教科書p. 31の演習問題1.に答えよ。「単体」の定義は高校までの教科書で学んだはずだが、忘れた人は百科事典もしくは「化学辞典」などの専門辞書を参照してもいい(「広辞苑」などの「国語辞典」には期待しない方がいい)。
(2) 「酸素」という言葉を、「元素」の意味で用いた例文と、「単体」の意味で用いた例文を、それぞれ1つずつ示せ(自作でも引用でも可)。

2.教科書p. 31の演習問題2. および3. に答えよ。


第1回
 
第1回の演習課題は「有機化学I」の演習課題と共通です。この回の演習課題を提出すると、「有機化学I」の演習課題を提出したことにもなります。締め切りは27日(水)です。

(質問)今回の講義内容に対して、あるいは「無機化学」について、質問を具体的に記しなさい。


問題のストック 

年度によっては一部試験範囲外の問題もあります。一部の問題には解答があります。


原子の構造

1.次の崩壊系列の空欄(a)〜(c)にあてはまる核種を答えなさい。なお、鉛の安定な同位体の質量数は206, 207および208である。

 


化学結合

1.一酸化炭素の融点と沸点は窒素ガスよりもそれぞれわずかに高い。これはなぜか。理由を簡単に説明せよ。

2.次の結合エネルギーの表を用い,水素の電気陰性度を2.1として,硫黄の電気陰性度をポーリングの方法で計算しなさい。

  結合   結合エネルギー/kcal mol-1
  H−H   103.3
  S−S    62.5
  H−S    86.6

3.水素分子H2、塩素分子Cl2、塩化水素HClの結合エネルギーがそれぞれ432 kJ mol-1、239 kJ mol-1、428 kJ mol-1であり水素の電気陰性度が2.1であるとき、ポーリングの式から塩素の電気陰性度を求めなさい。

4.Fの電気陰性度をAllred とRochowの方法を用いて求めなさい。ただし、Fの共有結合半径は72.0 pm、有効核電荷は4.85であるとする。

5.次の各化合物の立体構造の概要を適切な言葉と図を用いて答えなさい(原子間距離や結合角の「値」を正確に答える必要はない)。原子価電子対反発(VSEPR)則だけで構造が説明できるものは○で囲みなさい。
 (1) 三塩化リン  (2) オゾン  (3) 六フッ化白金  (4) 塩化アルミニウム(固体)
 (5) 五酸化リン  (6) 亜酸化窒素  

6.次の各分子あるいはイオンの構造を、原子価電子対反発(VSEPR)則に基づいて予想し、図示しなさい。
 (1) 三フッ化ホウ素  (2) 硫酸イオン  (3) 塩化ベリリウム  
 (4) 四フッ化イオウ  (5) 亜塩素酸イオン


固体

1.(予習を兼ねた復習問題)塩化ナトリウム型のイオン結晶では、一般に陽イオン(cation、イオン半径rc)の上下左右を計6個の陰イオン(anion、イオン半径ra)が取り囲んでいる(「配位数が6である」という。竹内「化学の基礎」8章145ページ、図8.9)。[一部解答あり
 (1) 隣接する陰イオン同士が互いに接触しており、陽イオンと陰イオンも互いに接触している場合(右図)、両イオンのイオン半径の比rc/raはいくらになるか(竹内「化学の基礎」演習問題8.2より。関数電卓が必要)。
 (2) rc/raが(1)で求めた値より小さい組み合わせの場合に、塩化ナトリウム型のイオン結晶になっているとすると、X線結晶解析などで求められるイオン間距離robsと両イオンのイオン半径の和rc+raとの関係はどうなるか?式で示せ。
 (3) (2)のような場合に、robsから各イオンのイオン半径を推算することは適切だろうか?不適切だとすれば、もし推算を試みた場合にどのような不都合が生じるだろうか?
 (4) rc/raが1より小さく、(1)で求めた値より大きい組み合わせの場合には、robsとrc+raの関係はどうなるか?式で示せ。

2.塩化セシウムの結晶では、セシウムイオンと塩化物イオンが接しているものと考え、全クーロンポテンシャルをマーデルング定数を用いて推算しなさい(有効数字2ケタ)。

3.金属酸化物または硫化物の結晶で、酸(硫)化物イオンが立方最密充填構造をとり、その隙間に金属イオンが分布していると考えられるものを二種類挙げ、それぞれの結晶構造の概要を図に描いて簡単に説明しなさい。

4.酸化カルシウムの結晶について次の各問に答えなさい。実数値の回答は有効数字3ケタで答えなさい。イオン半径は、化学基礎論の教科書を参照しなさい。
 (1) イオン結晶であると考えると,陽イオンと陰イオンのイオン半径の比(rc/ra)はいくらか。
 (2) この結晶はどの型の結晶構造をとると考えられるか。
 (3) (2)が正しい場合について,単位格子の一辺の長さおよび単位格子に含まれる各イオンの個数を答えなさい。(ヒント:接触可能なイオン同士は接触していると考えるとこのイオン間の距離がわかる)
 (4) 以上の結果より、この結晶の密度を計算しなさい。
 (5) (難問)酸化カルシウムの密度の実測値は約3.3 g cm-1である。このことと、(4) の結果を比較して、考察しなさい。

5.MgOの結晶は塩化ナトリウム型であり、イオン間距離は210.4 pmである。この結晶の格子エネルギーはいくらか(導出過程を必ず示すこと)。


酸・塩基、酸化・還元[1〜3の解答あり

1.次の化学反応式を完成させ,その反応をHSAB則に基づいて説明せよ。

 (1)  AgF +  CaCl2

 (2)  ZnO +  LiC4H9

 (3)  LiBH4 +  NH4Cl →  H3B・NH3 +  LiCl +  H2

2.次の化学反応式を完成させよ。酸化または還元された原子があればその酸化数の変化を示せ。

 (1)  CaH2 +  H2O →

 (2)  NH4NO2 →  2H2O +

 (3)  NH4NO3 →  H2O +

 (4)  H3PO3 →  PH3 +  H3PO4

 (5)  (CH3) 3SiCl +  H2O →  (CH3)3SiOSi(CH3) 3 +  HCl

 (6)  NaBH4 +  BF3 →  B2H6 +  NaF

3.次の各反応はいずれも酸・塩基反応に分類できる。それぞれ適当な係数をつけて反応式を完成させよ。また,各反応が(a)ブレンステッドの酸塩基反応と(b)ルイスの酸塩基反応のいずれにあてはまるか分類し,どの化学種が酸でどれが塩基であるか答えよ。

 (1) CH3COOH + H2SO4 → CH3COOH2+ + HSO4-

 (2) NH3 + BF3 → BF3・NH3

 (3) NH4Cl + KNH2 → KCl + NH3

 (4) SbF5 + BrF3 → SbF6- + BrF2+

 (5) Ag+ + NH3 → [Ag(NH3) 2]+

4.次の化学反応は容易に起こるか。容易に起こるものは係数を追加して完全な形の反応式で答えなさい。起こらないものはその理由を簡単に説明しなさい。

 (1) NaHSO4 + HF → H2SO4 + NaF

 (2) AgI + NaNO3 → NaI + AgNO3

 (3) Fe3+ + H2O → Fe2+ + H2O2 + H+

 (4) Fe3+ + S2- → FeS + S

6.次の化学反応式に、係数や生成物を補って完成させなさい。

 (1) Cu2+ + I- → CuI + I2

 (2) Fe(OH)3 + S2- → FeS + S + OH-

 (3) Ag2O + NH4+ → [Ag(NH3)2]+ + H2O + H+
(構造)


電解質溶液(2006年は範囲外)

1.教科書「現代の無機化学」p. 121の演習問題1,3,5に答えよ。
(ヒント)3.NH3水溶液の無限希釈での解離の様子は?
     5.各イオンの濃度比は?
     電気に関する基本的な法則がわからないときはこちらへ。

2.KCl水溶液の25℃でのモル伝導率Λmをさまざまな濃度cで求めたところ下の表のようになった。極限モル伝導率Λm0はいくらか(グラフを用いて解く)。

c/mol dm-3 0.005 0.01 0.05 0.1 0.2
Λm/10-4Ω-1m2mol-1 128.81 127.95 124.56 122.42 120.26

(ヒント)p. 96、図5.3のようなグラフにデータをプロットし、5.9式にあてはめて求める。

解答した人へSAからのコメント


電池と電気分解

1.プリントの図10.2で左側の溶液が濃度1 mol/L のZnSO4水溶液であるとき、右側の電極を金属Znに変え、溶液を0.5mol/L のZnSO4水溶液に変えたとする。
 (1) (平易)左右どちらの極が正極になり、起電力は何Vになると考えられるか?
 (ヒント)濃淡電池では、ネルンストの式のEo = 0 となる。
 (2) (標準)(1) で、Eo = 0 となるのはどうしてか。
 (3) (やや難)実際には、図10.2の装置のままでは電池としてはうまく働かない。電池として働くようにするには、素焼き板の代わりに特別な性質をもった膜を使う必要がある。では、その「特別な性質」とはどのような性質だろうか。考えてみよ。

2.プリント演習問題10.4〜10.6(関数電卓が必要。必要な物理量および定数は自分で調べる)。

3.下記の半反応を組み合わせて電池を作ることを考えた。これについて次の各問に答えなさい。温度はいずれも25℃とする。1 dm3 = 1 L。

   MnO2 + 4H+ +2e- → Mn2+ + H2O  (1)
   Mn2+ + 2e- → Mn         (2)

 (1) 正極物質および負極物質はそれぞれ何か。
 (2) 両者を組み合わせて電池の反応式を完成させなさい。
 (3) この電池の標準起電力を計算しなさい。
 (4) [H2O] = 10 mol dm-3、[H+] = 1.0 mol dm-3で一定であるとして、[Mn2+]が 1.0×10-2 mol dm-3のときと1.0 mol dm-3のときの起電力をそれぞれ計算しなさい(注意:固体物質の活量は常に1とする)。ヒント:まず、この電池のネルンストの式を作る。

4.2つの半電池 (a) Fe2+|Fe と(b) Cu2+|Cu を組み合わせて電池を作ったとする。
 (1) 正極となるのは(a)(b)のいずれか。
 (2) 正極および負極反応で起こる半反応を式で表せ。
 (3) 各半電池のFe2+イオンとCu2+イオンの濃度が共に1.0 mol dm-3 のとき、この電池の起電力はいくらになると考えられるか。ただし、活量係数は1であるとする。
 (4) (3)の状態で、Fe2+を含む水溶液に水を加えると、起電力は{大きくなる、小さくなる、変わらない}。正しいものを選び、理由を説明しなさい。


錯体 (*のついた問題は2006年度範囲外)[1〜3の解答あり

1.[PtCl2(NH3)2(py)2]2+ イオンについて次の各問に答えよ。
 (1)py配位子の構造を答えよ。錯体形成に関わる非共有電子対も示せ。
 (2)Ptの酸化数はいくつか。
 (3)幾何異性体の構造をすべて図示せよ。互いに鏡像異性体が存在するものは,わかるように対にして示せ(わかれば方法は問わない)。

2.SCN-とNO2-にはそれぞれ2通りの配位様式が考えられる。このことについて図を引用しながらわかりやすく説明せよ。また,各配位子の名称を調べて答えよ。

3.キレート配位子を2つ以上挙げ,その構造を式を用いて説明せよ。

4.次の各化合物の中心金属の周りの電子数を数え,18電子則に従っていないものを選んでその電子数を答えよ。
 [Ti(cp)2Cl2]  [V(CO)6]  [Mo(C6H6)2]  [Mn(cp)(CO)3]  [Co(C5H5)2]
 [Pt(CH3)2(PEt3)2]

5.ある金属Mがあり、それぞれ異なる単座配位子A、B、Cがあるとき、次の各問に答えなさい。
 (1) 錯体[MA3B3]には2通りの異性体がある。各異性体の立体構造の概要を描き、異性体の名称(記号)を記しなさい。
 (2) 錯体[MA3B2C]にはどのような異性体があるだろうか。(1) の結果に基づいて、考えられる異性体の立体構造式をできるだけ描きなさい(重複しないように注意すること)。ヒント:意外に少ない。

6.[CoCl2(bipy)2]+イオンについて次の各問に答えなさい。
 (1) bipy配位子の構造を答えなさい。錯体形成に関わる非共有電子対も記すこと。
 (2) この錯体中のCoの酸化数および電子配置を答えなさい。

7.[NiBr2Cl2en]-イオンについて次の各問に答えなさい。
 (1) en配位子の構造を構造式で答えなさい。非共有電子対も示すこと。
 (2) Niの酸化数はいくつか。
 (3) 幾何異性体の構造をすべて図示しなさい。互いに鏡像異性体の関係にあるものは、そのことがわかるように対にして示しなさい(わかれば方法は問わない)。

8.ある金属Mがあり、それぞれ異なる単座配位子A、B、C,Dがあるとき、次の各問に答えなさい。
 (1) 平面四角形型の錯体[MA2BC]について考えられる2通りの異性体の立体構造を描き、各異性体の名称(記号)を記しなさい。
 (2) 錯体[MABCD]にはどのような異性体があるだろうか。(1)の結果を基にして,考えられる異性体の立体構造をすべて描きなさい(重複は減点となるので注意すること)。ヒント:意外に少ない。

9.[Mn(Cp)(CO)3]について次の各問に答えなさい。
 (1) 配位子Cpの名称、構造、ハプト数*を答えなさい。
 (2) この錯体の立体構造の概要を描きなさい。必要に応じてくさびと点線を使うこと。
 (3) 各電子数を数え、この錯体が18電子則を満たしているかどうかを示しなさい。

*10.(ヒント3がなければやや難問)Cu2+錯体はヤーン-テラー効果が観測されやすいことが知られているが,その他にもこの効果が観測されやすいと思われる錯体の中心金属イオンを,高スピンの場合と低スピンの場合についてそれぞれ一つ以上答えよ。
 (ヒント1)ヤーン-テラー効果が観測されやすいのはどの軌道に電子がいくつ入っている場合だろうか?
 (ヒント2)遷移金属は通常は2価または3価の場合に安定である。
 これでも見当がつかなければ,下の方のヒント3を参照せよ。
 

 (ヒント3)ヤーン-テラー効果が観測されやすいのは,eg軌道に電子が1個だけ入っている場合である。


水素と水素化合物

1.水素化アルミニウムを水に加えて反応させた。[解答あり
(1)化学反応式を書きなさい。
(2)酸化された原子,還元された原子をそれぞれ答え,酸化数の変化を示しなさい。
(3)水溶液のpHはどうなったか?簡単に説明しなさい。

2.ホウ素と水素からなる化合物でもっとも簡単なものの分子構造の概要を、図を用いて説明しなさい。その化学結合の特徴に言及すること。


pブロック元素[1〜3の解答あり

1.次の各問に答えよ。
(1) 亜酸化窒素N2OおよびオゾンO3はそれぞれどのような構造をしているか。各原子の混成と電子状態に基づいて説明せよ。
(2) アジ化物イオンN3-の構造は,亜酸化窒素とオゾンのどちらにより近いと考えられるか?各原子の混成と電子状態に基づいて説明せよ。

2.次の化学変化を化学反応式(イオン反応式でもよい)で表しなさい
(1)炭酸水素ナトリウムを加熱すると,二酸化炭素が生じる。
(2)亜硝酸カリウムとヨウ化カリウムを硫酸酸性下で反応させると酸化窒素が生じる。

3.非金属の酸化物で高分子構造を示すものを挙げ、その構造の概要を図示しなさい。

4.アルミノケイ酸塩の例を一つ挙げ、その構造を、対応するケイ素酸化物の構造との関係に言及しながら、図を用いて説明しなさい。

5.両性でない金属原子が中心となっている酸素酸のカリウム塩を化学式で答えなさい。これらに共通する特徴的な化学的性質はどのようなことか。

6.Si6O18x-の化学式をもつポリケイ酸イオンについて次の問に答えなさい。
(1) このイオンの価数 x はいくつか。
(2) このイオンの構造の概略を図示しなさい(構造式でも概略図でもいい)。


全般

*1.金属の酸化物で分子性のものを挙げなさい。[解答あり


語句説明

次の各項目の内容の概要,実例,他の化学現象や概念との関係や重要性について,図や式を用いながらわかりやすく説明しなさい。

 不定比化合物  

 逆供与(back donation)  

 擬ハロゲン

 低スピンと高スピン  

 スピネル型 

 オルト水素とパラ水素      

 有効核電荷と遮蔽(しゃへい)定数  

 ケイ素酸化物(例を挙げながら) 

 ペロブスカイト型(例を挙げながら)

 酸素原子2個からなる分子およびイオン 

 標準電極電位

 電解質の当量導電率と濃度との関係

 金属結晶の最密充填構造

 酸素原子2個だけで構成される分子およびイオン

 金属カルボニル錯体の配位数と中心金属との関係 

 静電結晶場理論