6.立体化学

1.(2E,4E)-、(2E,4Z)-、(2Z,4E)-、(2Z,4Z)- の4種類。

2.60°、180°、300°(-60°)の3種類。

3.(1) ねじれ形:6つ、重なり形:なし  (2) ねじれ形:4つ、重なり形:2つ(舟の中ほど、左舷と右舷に対応する結合の周りが重なり形配座)。

4.[2]青色がねじれ角を決めるときに注目する置換基。手前(2-位)ではHであることに注意。
 左の三つが重なり形(エネルギーが極大)、右の3つがねじれ形(エネルギーが極小)。

配座解析:maxの角度で最大値、minの角度で最小値となるように角度−エネルギー図を描く。0°が最大ではなく、180°が最小ではない点に注意。

5(ポイント)環はいす形で,メチル基はエカトリアル方向。
アキシャル水素は6個、エカトリアル水素は5個。

6(任意課題)0.0098%-0.022% 程度であればよい。 
 (解答例) x = exp(-21×103 J mol-1/(8.31 J K-1mol-1×300 K))
        = 2.2×10-4
       ΔE = 23 kJ mol-1を用いると、もう少し小さくなる。

この問題に限らず、実用計算では単位の整合性がこの上なく重要である。(数の計算だけなら機械にもできるが、)言われなくても単位を認識し、正しく変換して使えるのは、人間だけに備わった能力である(この能力は、マークシートの試験では評価できない)。

 (注意)この割合は、厳密には「一つのねじれ形」の「一つのイス形」に対する割合であり、「ねじれ形」と「イス形」の全体としての存在比を表しているわけではない。詳しくは「物理化学I」で学ぶ。

7.下の(1)〜(3) 。(1) (3) はいずれか一方であればよい。

8.(2) (a) 下の(4)  (b) 下の(5)

(3) 鏡像の関係ではない(ジアステレオ異性体)。

9.下のいずれか。

10. [5]例

(1) は1S,3S-体を例示した。1R,3R-体((3)の解答)を用いて回答してもよい。

(4) 鏡像異性体

11. 「異性体」を区別する問題では、通常は「立体配座の違い(配座異性体)」は考えない。

 構造異性体(位置異性体)のみを考え、立体異性体を区別しなければ4通り。鏡像異性体を区別しなければ(ジアステレオ異性体は区別する)7通り。鏡像異性体を区別すれば9通り。
 うっかりすると、環反転による立体配座を区別して描いてしまうことがある(この場合14通りになる)ので注意*すること。

(ポイント)環はいす形。
 位置異性体は1,1-、1,2-、1,3-、1,4- 置換体の4通り。
 1,2-、1,3-、1,4- 置換体には、それぞれcis形とtrans形の立体異性体(ジアステレオ異性体)がある。
 1,2-、1,3- 置換体のtrans形には、それぞれ鏡像異性体がある(cis形はメソ体なので鏡像異性体はない)。
 以上が区別されていればいい。

 *(注意)trans-1,2-(2種類)、cis-1,3-(1種類)、trans-1,4-(1種類)置換体は、それぞれ環反転を起こすと形の異なる立体配座になる。cis-1,2-置換体が環反転を起こすと、もとの形と鏡像の関係にある立体配座になる。(1,1-、trans-1,3-、cis-1,4- 置換体は、置換基の一方がアキシャル方向、もう一方がエカトリアル方向であり、環反転を起こしても、もとと同じ形になる)。

 一つ一つ分子模型を組んで確かめてみよう。 .

12.(1) +25.2°  (2) -5.04°  


 1-ethyl-2-methylcyclohexane などでも事情は同じ。

 しかし、cis-1,2-dimethylcyclohexane では事情が異なる。