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演題 化学と教育誌データベース検索ソフトのMacintoshへの移植
発表者
(所属)
平島大志郎、守谷 崇、○伊藤眞人、紺野 昇*(創価大工、*大教セ)
連絡先 〒192-8577 八王子市丹木町1-236 創価大学工学部
TEL: 0426-91-9448 FAX: 0426-91-9312
e-mail: itomasa@t.soka.ac.jp
キーワード 化学教育、データベース、検索、化学と教育、抄録、Macintosh
開発意図
適用分野
期待効果
特徴など
日本化学会が刊行している「化学と教育」誌のデーターベースの簡易検
索・表示ソフトをMacOS上に移植した。利用可能な環境を広げるだ
けでなく、Windows版で使用しているデータファイルがそのまま使え
ることから、CD等に同梱して頒布することが可能である。

環境 適応機種名 Macintoshシリーズ
OS名 漢字Talk 7.1以降。MacOS 8.1対応。
ソース言語 REALbasic 1.0
周辺機器  プリンター、HD容量10MB以上(データを含む)

流通形態
(右のいずれかに○をつけて下さい。)
・化学ソフトウエア学会の無償利用ソフトとする。
○独自に配布する。
・その他
具体的方法
化教誌データベース推進小委員会よりCDで頒布する。
インターネットで公開する。
(http://www.t.soka.ac.jp/~itomasa/cedb.html)

はじめに

国内唯一の化学教育の専門誌である「化学と教育」誌(1953年創刊)の抄録データベースは、1992年に紺野の簡易検索ソフト 1)と共に公開されて以来、多数の化学教育関係者によって活用されてきた。また、大阪府、奈良県および日本理化学協会など、他の化学教育情報のデータベース化を推進する先駆的な役割をも果たしている。検索ソフトはPC-9801版、FMR版に続いてWindowsへの移植2)が紺野により行われる一方、1997年には創刊号以降に掲載された全著作の抄録データベース化が完了し3)、文字通り戦後化学教育の歴史の一端を網羅するデータベースとなった。

一方、Macintoshでの利用に対する要望は当初より少なくなかったが、開発環境の違いから移植の困難さが予想されたことから、CSV形式のデータを提供し、ファイルメーカー等のMacintosh上のデータベース・ソフトウエアで利用するという状況が長く続いた。紺野のWindows版はVisual BASIC(VB)Ver. 2で作成されたが、Macintosh用のVBはVer.1だけで姿を消してしまった。

Macintosh上の新しいBASICプログラム開発環境として、最近普及しつつあるREALbasic 4)は、Windows版Visual BASICのソースコードを自動変換する機能をサポートしている。そこで、今回この機能を利用して、紺野の作成したWindows版検索ソフトのREALbasic(RB)への移植を行った。

1.概要と特徴

すでに定着し、好評を得ているWinodws版のアルゴリズムとユーザーインターフェースには、なるべく手を加えないことにした。そのために、VB版の構造はなるべくそのまま残し、ソースコードの使える部分はそのまま使った。その結果、検索キーワード以外は文字入力不要という初版以来の特徴を継承すると共に、ジャンル別の記事一覧表示(Windows版では「リスト検索」と呼ばれた)機能もサポートした。

図1(a) 検索範囲指定画面

一方、次の各点については、Macintoshインターフェースの特徴を活かして操作性を向上した。(1) データのあるフォルダの指定にはMacOSの標準フォルダ指定ダイアログを用いた。(2) 検索範囲および巻を柔軟に指定できるようにした(図1a)。(3) 検索結果一覧表示画面の縦スクロールを可能にした(図1b)。これらの点を含めて、Windows版の機能はMacOS版でもほぼサポートすることができた。

図1(b) 一覧表示画面とデータ表示画面

Windows版用のデータファイルおよびインデクスファイルは、そのままMacOS版で使うことができた。これにより、従来Windows版を配布していた媒体に今回開発したMacOS用検索ソフトを追加するだけで、両機種用のデータベースを頒布することができる。


ソースコードの自動変換機能があるとはいえ、QuickBASICから発展した経緯をもつVBと新出のRBでは基本的な仕様が著しく異なるため、移植には手間がかかる。「変換の手引き」に説明のない主な相違点を挙げると、(1) VBで用いられているステートメントの多くがRBでは許されない、(2) 同名の関数でも引数の順序、指定方法が異なる場合がある、(3) ファイルへのランダムアクセスの際の番地指定法が異なる、などである。RBにある程度習熟している場合には、現在の自動変換機能を使うより、アルゴリズムを把握した上で一から作り直すほうが早いかも知れない。

1) 紺野、化学ソフトウエア学会'92研究討論会講演要旨集、p. 64 (1992).

2) 化学と教育、44, 283 (1996).

3) 化学と教育、45, 367 (1997).

4) "Real Software Inc.", URL=http://www.realsoftware.com/


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