「化学教育ジャーナル(CEJ)」第5巻第1号(通巻8号)発行2001年7月28日/採録番号5-16/受理2001年5月30日
URL = http://www.juen.ac.jp/scien/cssj/cejrnl.html


国際化学オリンピック:参加国の実態調査

伊藤眞人、辰巳 敬、細矢治夫、加茂川恵司、森 敦紀、野田良彦、杉村秀幸、竹内敬人、竜田邦明、上野幸彦、山内辰治

日本化学会・化学教育協議会・国際関係小委員会
101-8301 東京都千代田区神田駿河台1-5

概要

 国際化学オリンピック(IChO)への参加国の実態を、24ヶ国の協力を得て調査した。代表の選考方法、訓練方法、およびこれらに要する経費の国別の分布を示した。IChOへの国代表の典型的な選考方法は一次選考への参加者の数によって2通りに分かれる。選考会(国内化学オリンピック)への参加者数が比較的少ない国では、第一段階で高等学校の応用問題レベルの筆記試験を課し、2〜3段階で選考している。参加者数が千人を超える国では、第一段階では高等学校の基本レベルの試験から始まり、3〜4段階かけて少しずつ難度の高い問題を課して選考している。代表候補者の訓練は、10〜14日の合宿を6月に大学で行い、問題演習、実験および講義をそれぞれ約20時間かけて行い、3〜4時間の試験を1〜3回行っている。大学の教員が指導し、この期間に最終的な代表の選考を行っている場合が多い。選考、訓練および代表の派遣に要する経費は、多くの国では50万ドル以下である。参加国の約半数では、代表になった生徒は、無試験で大学に入学することができる。1995〜1999年の代表のほとんどは、大学では化学または化学系の学科に進学しており、医学およびコンピュータ関係の学科がこれに続いている。訓練が代表候補者に与える好影響と共に、参加国が直面している困難な問題(資金面など)に関する調査結果も示した。


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