「周期表は覚えるものではなく活用するものである」というのは確かに正論である。いつぞやの朝日新聞の記事によると、周期表のお膝元であるロシアのペテルブルグ大学では、化学の試験の前になると教室の前に周期表が掲げられるとか。本学でも見習いたいものである。
とはいえ、「Cの次はOだっけ、Nだっけ...」と迷う状態であれば、そのたびに周期表を探すよりは、「僕の船(BoCNOFNe)」と唱えた方が早いし、そのうちに覚えるだろう。
というわけで(はないが)、高校で大切な(と言われる)第3周期までから、長周期の手がかりとなる第4周期、その他の語呂合わせなどの一例を示す。興味のある方、暇な方はどうぞ。
○まずは定番。ほとんど文化として定着した1番から10番。 水兵リーベ(Liebe)ぼくのふね。 H He LiBe B C NOFNe ○多少バリエーションがあるが、骨格は同じ11番から18番の一例。 名前があるよシップ・スクラール。 Na Mg Al Si P S Cl Ar ○続いて第4周期。以下を縦に覚えるのに手がかりとなる。文と文のつながりはない。 かかあの好きな千葉の黒饅、(「栗饅」) K Ca Sc Ti V Cr Mn 鉄のコルトにどうあがく、 Fe Co Ni Cu Zn Ga ゲルマン人は汗ぶくれ。(「ゲルマンあせるシュークリーム」) Ge AsSeBrKr Ge AsSe Br Kr ○ここから下は第4周期をカギにして縦に身につけるのが化学的といわれています。 ○1族:スリなのかルビーせしめたフランシス H Li Na K Rb Cs Fr ○2族:ベリー真っ赤な強いバラ(和洋折衷) Be Mg Ca Sr BaRa ○3族:救いはランタンアクチニド(かなり苦しい) Sc Y La Ac ○4族:宝石元素(チタニア、ジルコニア。ハフニアは希少すぎて宝石にもならない) ちぢれ葉 Ti Zr Hf ○5族:バナナは臭う食べたるで V Nb Ta ○6族:黒森のウルフ(タングステンの別名はWolfrum) Cr Mo W ○7族:待ってくれ!(自然にあるのはマンガンだけなので、覚えるまでもないが) Mn Tc Re ○8〜10族 テニスコートに流浪のパリジャン重い借金(「思いは金」もある) Fe Co Ni RuRh Pd OsIr Pt ちなみに、最後の3つは金と共に単体の密度がもっとも大きい。 ○11族:「オリンピック元素」として有名。メダルを3位から順に。語呂合わせは不要。 ○12族:「公害元素」などというひどい仇名をつけた人がいますが、微量必須元素です。 阿伽は水(これでわかる人は梵語に強い?)。「赤い水」が一般的。 Zn Cd Hg 古代世界史に強い人なら「アッカドの水銀」でもいい。 ○13族:関西人ならわかる? ぼられ、はがいたらしい(「ボラ、がいにしたりや」) BAl GaInTl (ホウ素の英名はBoron) ○14族:炭素半導体にハンダ付け(ちっとも語呂合わせになっていないが、これでわからないようでは化学の勉強が足りない) C Si Ge Sn Pb (ケイ素、ゲルマニウムは半導体の材料、ハンダはスズと鉛の合金) ○15族:チリまみれ悲惨な美人(「チリの悲惨な美人」) N P As Sb Bi ○16族:ポロリと手に汗硫酸こぼす(珍しく下から上へ) Po Te Se S O (綱引きで)オーエスと競れば鉄砲(鳴って終わり) O S Se Te Po ○17族:懐(ふつくろ)収賄明日逮捕(この族は語呂合わせなしで身につけてほしいが...) F Cl Br I At ○18族:変ねあれこれ着せられて(母親のセンスが悪いと、こんな陰口を叩かれることも...) HeNe Ar Kr Xe Rn
○どうしても原子番号順に覚えたいという人のために、第5周期以下の一例を。ただし、ランタノイド、アクチノイドに深入りはしません。
ルビーする人いずれにモテる、ロン・パリ銀塊すわ定期。
船場の欄干旗忘れ、多い借金過ぎたな貧乏、後はラドンがフランスに沸く。
さて、解読できますか?
●もっと気の利いた語呂合わせを思いついた方はお知らせ下さい。ここに掲載します。語呂合わせにふさわしいユーモラスなイラストも歓迎します。
おわりに
これは決して学問ではない。しかし、文化にはなり得るかも知れない。学問もまた文化になり得るように。
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