有機化学練習問題


理解を助けるための練習問題。

基礎有機化学(I)   有機化学(II) 


有機化学I(*一部は演習問題と重複しています)

「フォックスホワイトセル有機化学 I」に掲載されいている問題

2.電子状態、極性

*(1)次の電子配置で示される原子またはイオンの化学式を答えよ。

(1) 1s22s22p6 の二価陽イオン  (2) 1s22s22p6 の一価陰イオン

(3) 1s22s22p63s23p6 の一価陽イオン  (4)1s22s22p63s23p6 の中性原子

*(2)次の各分子を表す式で、―で示した結合の極性を記号(d+、d-、→、+、-など)で書き込みなさい。


3.飽和炭化水素

(1)分子式がC8H18の炭化水素の異性体をすべて示性式または簡略化した構造式で示せ(電子メイルで送るときは、原子数を表す数字は下付きにしなくてよい)。

4.炭素−炭素多重結合

(1)分子式がC5H8の非環状炭化水素のすべての異性体を構造式で示し、それぞれにIUPAC名をつけよ。累積二重結合をもつものを□で囲め。共役π電子系をもつものに○をつけよ。

2.〜4.の解答例と解説


5.官能基

*(1)次の各化合物について以下の各問いに答えよ。

(a) 2-ブタンアミン  (b) 2-ブタノール  (c) プロパン酸  (d) 2-ブタノン

(1) (完全な)構造式を描け。
(2) (1)で描いた構造式中の水素結合に関与する水素原子(D)および水素受容原子(A)にそれぞれD、Aの記号をつけよ。
(3) 沸点の低いものから順に左から右に並べよ。

*(3)酢酸(エタン酸)の沸点が分子量に比べて高いのはなぜか?構造式を用いて説明せよ。

*(4)次の分子式に対応するIHD(水素不足数または不飽和度)を求めよ。中性分子として存在しうるものは、可能な構造式を一つ示せ。中性分子ではなく、基(または陽イオン、陰イオン)として存在しうるものは、可能な基の構造式を一つ示せ。また、単一の化学種としては存在し得ないものは、×で示せ。

(1) C5H14NO2  (2) C2H5NO  (3) C4H10N3O  

(4) C6H5NO2  (5) C6H16N  (6) C5H9O4    

*(5)(a) プリント5-10ページ、「5.10 構造異性体」の(2)のC4H6の異性体は描いたもの以外にもいくつかある。すべてを構造式で答えよ。
(b) プリント5-10ページ、「5.10 構造異性体」の(4)3)の(補足)に該当する異性体の構造を、重複のないように描けるだけ描いてみよ。ただし、C=C-OH(エノール)という部分構造をもつものは除外すること(多くなりすぎるし、一般に不安定であるから)。

5.の解答例と解説


A.命名法 練習問題 解答 


6.立体化学−立体配座

(1)2,2,3,3-tetramethylbutaneのC-2, C-3間の結合を360度回転させたときのおよそのエネルギー変化をグラフに描け。また、安定な(エネルギーが極小値となる)配座異性体をNewman投影式で描け。

*(2)シクロヘキサンの水素原子のうち二個を重水素(D)原子で置き換えたときに生じる異性体を考えられるだけ、テキストなどを参考にして立体構造がわかるようにして描け。


7.立体化学−立体異性体

*(1)(a) 次の各化合物の構造式を描け。考えられる立体異性体のそれぞれをくさびと点線を用いて描き、絶対配置(RSか)を答えよ。
(1) 2-pentanol  (2) 3-pentanol  (3) 2-hydroxypropanoic acid

*(b) 次の各化合物の立体構造を、くさびと点線を用いて描け。
(4) (R)-1-chlolo-1-bromoethane  (5) (S)-3-methoxy-2-butanone

(2)L-アラニン(2-aminopropanoic acid)およびL-システイン(2-amino-3-mercaptopropanoic acid)の立体構造を調べてFischer投影式を用いて示し、不斉炭素の絶対配置を記号で答えなさい。

6.7.の解答例と解説


10.有機化学反応の基礎

*(1)次の各反応はいずれも高校の教科書に載るほどよく知られている。示性式または簡略化された構造式を用いてそれぞれを完全な(物質収支の合った)化学反応式で表し、「物質レベルの分類」に従って反応の種類を答えよ。
(1) エタノールと酢酸から酢酸エチルが生成する。
(2) アセチレン(HC≡CH)と酢酸から酢酸ビニル(CH2=CHOCOCH3)が生成する。
(3) エタノールを酸触媒の存在下で加熱するとエチレンが生成する。
(4) α-グルコースを水に溶かすと、一部がβ-グルコースになる。
(5) アセトアニリドに濃硝酸を作用させるとp-ニトロアセトアニリドが生成する。

*(2)次の各化合物の構造式を描き、求核試薬(または塩基)および求電子試薬(または酸)が接近しやすいと考えられる原子を、テキストの例にならって示しなさい。

(1) propene  (2) benzoic acid (benzenecarboxylic acid, C7H6O2)

(3) 1-bromobutane  (4) aniline (benzenamine)

(5) cyclohexanone (C6H10O)  (6) ethyl acetate (ethyl ethanoate, C4H8O2)

*(3)次の反応の主生成物の構造と名前を答えなさい。
(1) ヨードメタンにナトリウムエトキシド(CH3CH2ONa)を作用させる。
(2) 1-ブタノールに硫酸酸性下で臭化水素を作用させる。
(3) 2-メチル-2-ヨードプロパンに、氷冷下で水酸化ナトリウム水溶液を作用させる。


(参考)分離と精製

(1)次の各有機溶媒について以下の問に答えなさい。
 アセトン(プロパノン)、ベンゼン、クロロホルム(トリクロロメタン)、ジエチルエーテル(エトキシエタン)、エタノール、ヘキサン
(1) 極性分子と無極性分子に分けなさい。
(2) 極性分子の構造式を描き、双極子モーメントの方向を矢印で示しなさい。
(3) ジエチルエーテルとエタノールのうち沸点の高い方を選び、その理由を記しなさい。
(4) 水によく溶けるものを2つ答えなさい。

(2)アセトアニリド(C6H5NHCOCH3)の水に対する溶解度(g/水100 g)は、20℃で0.56、100℃で7である。
(1) アセトアニリド1 gに水30 gを加えて100℃まで加熱したとき、結晶はすべて溶けるか?
(2) (1)の混合液を熱時ろ過し、ろ液を20℃まで放冷した。このとき析出する結晶は何gか。ただし、蒸発する水やろ紙中に残る溶液の量は無視できるものとする。

(3)次の物質からなる混合物がある。

 ニトロベンゼン、アニリン(ベンゼンアミン)、安息香酸(ベンゼンカルボン酸)

(1) 各成分の融点、沸点、酸性、塩基性を調べよ。
(2) この混合物から各成分を分離する方法を考えよ。いずれもジエチルエーテルにはよく溶ける。
(3) 分離した各成分を精製するための方法をそれぞれ答えよ。ただし、アニリンは大気中で100℃以上に加熱すると酸素によって一部が酸化され、有色の不純物を生じる。


有機化学(2)


7.立体配置

(3)次の各化合物を、(a)光学不活性のもの、(b)光学異性体がありmeso体のないもの、(c)光学異性体がありmeso体のあるものにそれぞれ分類し、Fischer投影式を用いて立体構造を示せ。ただし、(b)については各不斉炭素原子の絶対配置がすべてRのもののみを、(c)についてはmeso体のみを示すこと。

 (1) 2-amino-3-methylpentanoic acid  (2) 2,2-dichlorobutane  

 (3) 2,3-dihydroxybutane  (4) 2-amino-3-hydroxypropanoic acid

6.7.の解答例と解説


(第1,2回)

8.置換基の電子効果−誘起効果と共鳴効果

 共鳴式に関する演習問題を解きなさい。


9.酸と塩基の強さ

1.次の各化合物の構造式を、酸性の弱いものから順に左から右に並べ、理由を簡単に説明せよ。
 注意:「pKaが大きい(小さい)から」という回答は「同義反復」であり、「理由」を述べたことにはならない。

(a) cyclohexanol  phenol  cyclohexanecarboxylic acid

(b) propanoic acid  3-bromopropanoic acid  2-nitropropanoic acid

(c) benzoic acid (benzenecarboxylic acid)  p-nitrobenzoic acid  2,4,6-trinitrobenzoic acid

2.次の各化合物の構造式を、塩基性の弱いものから順に左から右に並べ、理由を簡単に説明せよ。

(a) hexanamine  aniline (benzenamine)  hexanamide


(第3,4回)

1.次の各反応(前回の問題3の反応)は、それぞれSN1とSN2のいずれの機構で進行すると考えられるか?
(1) ヨードメタンにナトリウムエトキシド(CH3CH2ONa)を作用させる。
(2) 1-ブタノールに硫酸酸性下で臭化水素を作用させる。
(3) 2-メチル-2-ヨードプロパンに、氷冷下で水酸化ナトリウム水溶液を作用させる。

2.次の反応の主生成物をFischer投影式で答え、その反応の機構を説明しなさい。
(1) (S)-3-メチル-3-ヘキサノール(CH3CH2C(OH)(CH3)CH2CH2CH3)に硫酸酸性下で臭化水素を作用させる。
(2) (R)-3-ヨード-3-メチルヘキサン(CH3CH2CI(CH3)CH2CH2CH3)をエタノール中、室温で反応させる。

(第5,6回)

1.次の反応の主生成物を構造で答え、その反応の機構を説明しなさい。特に(1)(2)は、前回の2.との反応条件の違いに注意すること。
(1) (S)-3-メチル-3-ヘキサノール(CH3CH2C(OH)(CH3)CH2CH2CH3)を濃硫酸と共に加熱する。
(2) (2R,3R)-2-ヨード-3-メチルペンタン(CH3CHICH(CH3)CH2CH3)にナトリウムt-ブトキシド((CH3)3CONa)を作用させる。
(3) 臭化N-エチル-N-プロピル-N,N-ジメチルアンモニウム(
CH3CH2CH2(CH3CH2)N(CH3)2+・Br-)を水酸化ナトリウム水溶液中で加熱する。

2.次の反応の主生成物の構造を示し、名前を答えなさい。
(1) シクロヘキサノールに酸性条件下で二クロム酸カリウム(K2Cr2O7)を作用させる。
(2) 2-メチル-1-プロパノールに酸性条件下で三酸化クロムを作用させる。

3.次の反応の主生成物の構造を示し、なぜその生成物が多くできるかを説明しなさい。
(1) シクロペンテンに臭素を作用させる(生成物の立体構造がわかるように)。
(2) 1-メチルシクロペンテンに臭化水素を作用させる。
(3) 1-メチルシクロペンテンに、少量の過酸化ジt-ブチル((CH3)3C-O-O-C(CH3)3)の存在下で、臭化水素を作用させる。

4.(Z)-2-ブテンに次の各試薬を作用させたときの生成物の構造を示しなさい。
(1) 過安息香酸(PhCOOOH)(立体構造がわかるように)
(2) (1) の生成物に水酸化ナトリウム(Fischer投影式で)
(3) 塩基性下で過マンガン酸カリウム(Fischer投影式で)
(4) オゾン、次いで金属亜鉛。
(5) 白金触媒の存在下で水素ガス。

(第7,8回)

1.ベンゼンのニトロ化を例として、芳香族求電子置換反応での
(a) 求電子試薬の生成経路
(b) 反応中間体と反応機構
を図や式を引用しながら説明しなさい。

2.次の化合物への求電子置換反応が、ベンゼンの場合よりも起こりやすいものの記号を答えなさい。
(a) bromobenzene  (b) benzonitrile (benzenecarbonitrile, C6H5CN)  (c) toluene  (d) benzoic acid (benzenecarboxylic acid, C6H5CO2H)  (e) phenol  (f) benzaldehyde (benzenecarbaldehyde, C6H5CHO)

3.次の各反応の主生成物を答えなさい(電子メールで回答する場合には、名前で答えること)。


(g) p-メチルアニリンを塩酸酸性下-20℃で亜硝酸ナトリウムと反応させた。
(h) (g) の生成物をアニソール(メトキシベンゼン)と反応させた。
(i) (g) の生成物を、ヨウ化銅(I)の存在下、ヨウ化ナトリウムと反応させた。
(j) p-キシレン(1,4-dimethylbenzene)に硫酸酸性下で二クロム酸カリウム(K2Cr2O7)を作用させた。

(第9,10回)

1.次の反応の主生成物の構造を、立体化学がわかるように答えなさい。
 (1) 2-ブタノンに水素化アルミニウムリチウムを作用させる。
 (2) シクロヘキサノンに塩化水素を作用させる。
 (3) ベンズアルデヒド(ベンゼンカルボアルデヒド、C6H5CHO)にCH3CH2MgBrを作用させる。

2.次の反応の主生成物を構造で答え、その反応の経路(反応中間体など)を式を用いて説明しなさい。
 シクロペンタノンと1,3-プロパンジオールとの1:1混合物に触媒量の濃硫酸を作用させる。

3.N-エチルベンズアミド(C6H5CONHC2H5)を塩酸水溶液中で加水分解する反応の経路を、式を用いて説明しなさい。

(第11,12回)

1.次の各反応を化学反応式を用いて表しなさい。
 (1) p-トルエンスルホン酸の存在下で、2-メチルプロパナールとフェニルヒドラジン(C6H5NHNH2)を反応させる。
 (2) 塩化アセチル(塩化メタノイル、CH3COCl)と安息香酸ナトリウム(ベンゼンカルボン酸ナトリウム、C6H5COONa)を反応させる。
 (3) 安息香酸メチル(C6H5COOCH3)に、乾燥ジエチルエーテル中で十分過剰量の臭化フェニルマグネシウム(C6H5MgBr)を作用させる。
 (4) 水酸化ナトリウムの存在下でアセトフェノン(C6H5COCH3)に十分過剰な量のヨウ素を作用させる。
 (5) ベンズアルデヒド(C6H5CH=O)とアセトンを、ナトリウムエトキシド(EtO- Na+)の存在下で反応させる。
 (6) マロン酸ジエチルと1-ヨードブタンをナトリウムエトキシドの存在下で反応させる。
 (7) (6)の生成物を希塩酸中で加水分解する。
 (8) (7)の生成物を加熱すると気体が発生する。 

2.次の反応の経路(反応中間体など)を式を用いて説明しなさい。
 p-トルエンスルホン酸の存在下で、シクロヘキサノンにヨウ素を作用させると、2-ヨードシクロヘキサノンが生成する。